煎茶(せんちゃ)
煎茶は、緑茶の中で、誰もが知っており、よく飲まれている代表的なお茶です。 新緑園で販売する煎茶では甘みとコクとほのかな渋みのバランスが絶妙となっており、遠赤外線で焙煎し、飲み口がまろやかな煎茶に仕上げておりますが、お茶は、茶園で栽培した生葉を加工することによって製品となります。
生葉は、摘採した時点から酸化酵素の働きによって変化(発酵)が始まりますが、緑茶は新鮮な状態で熱処理(蒸す・炒る)することで酸化酵素の働きを止めた「不発酵茶」です。
この「生葉を熱処理し、葉の形状を整え、水分をある程度まで下げて保存に耐えられる状態」にすることを荒茶製造といいますが、蒸して揉んで荒茶を製造するもっとも一般的な製法でつくられたお茶を「煎茶」と呼びます。 狭義の「煎茶」とは日光を遮らずに栽培し、新芽を使い繊細に加工したものです。
広義の「煎茶」とは、茶葉を揉まずに乾燥して粉末にした抹茶(てん茶)に対して、茶葉を湯に浸して(煮出して)成分を抽出する「煎じ茶」のことをいう。 玉露やかぶせ茶は栽培方法で日光を遮る点、また番茶は大きな葉や茎を使用する点において狭義の煎茶と異なります。
日本茶
◆広義での煎茶 煎茶(せんちゃ)とは
緑茶すなわち不発酵茶の一種ですが、蒸熱により茶葉の酵素を失活させて製造する(蒸す)という点で世界的にも珍しい茶であり、生産、消費ともほぼ日本に限られています。ただし、中国茶に近い製法をとる釜炒り茶もあります。 当初の「煎茶」は文字通り「煎じる茶」の意味で、茶葉を湯で煮出すことによって成分を抽出するため今日のように急須で手軽に淹れられるものではなかったようです。
中世以降の日本における茶の服用方法には「煎じ茶」と茶葉を臼ですりつぶした「挽茶」があり、当初は摘んだ茶葉を蒸すか湯がくかして酸化酵素の働きを止め日光と焙炉(ほいろ)により乾燥させるものだったが、近世には「揉み」の行程が入るようになっていきました。
永谷宗円が青製煎茶製法を開発したことにより現在の煎茶の製法が確立・普及し、山本嘉兵衛(山本山の創業者)が江戸で煎茶の商業的成功に至ったことにより、急須で出せる茶(「だし茶」)は現在の日本茶の主流となっています。
明治時代以降、手揉みにかわる能率的な機械製法が考案され、現在では蒸熱、粗揉、揉捻、中揉、精揉、乾燥の6工程で製造されています。品質としては形状が細く針状のものを良とし、香気は特に一番茶新芽の新鮮な香りを保持したものが良いとされています。
また、滋味には特有の旨味と適度な渋みのバランスが重要です。このような品質上の特性を重視することから、その製造工程においては茶葉の短時間の蒸熱とそれに続く低温乾燥というきめ細かな注意が払われています。