五、林家木久扇師匠が語る「新緑園のお茶の感想」 五、林家木久扇師匠が語る「新緑園のお茶の感想」
全国講演でお忙しい木久扇師匠に、新緑園のお茶をお贈りしました。師匠はいつ召し上がって、どんな感想を抱かれたのでしょうか?
ありがたいことに今年は私、林家木久扇の芸能生活60周年ということで、一座を組んで、月に二、三カ所の全国巡りを興行していた。
十一月の初旬は愛知県一宮市と四日市市の二カ所で、昼席を午後一時から四時まで開演。コロナ禍にも関わらず、かなりの客足で嬉しかった。
一座は息子の二代目木久蔵、一門の春風亭小朝、色物のテツ&トモ、特別ゲストに俳優の風間杜夫(落語)、主任※が木久扇という精鋭揃いだ。
(※主任:興行の最後に出る芸人。トリともいわれる。)
私は今年の五月に左大腿骨を骨折してしまい、正座ができない。椅子に腰かけ、立ちマイクで健闘。たっぷり三十五分しゃべってお客様に喜んでいただいた。
毎度のことながら、旅の仕事は疲れる。
片足不自由でステッキを使っているからなおさらで、家路についたときは心から安堵した。
旅から帰った日の夕食は、私とおかみさん、娘、息子の木久蔵、その奥さん、孫二人の一家七人で鍋を囲んだ。
鍋はショウガ鍋で、豚肉、鶏手羽、野菜などの出汁で湯気モウモウである。
食前に「お父さん、お疲れ様。これ送っていただいた新緑園さんのお茶よ!」と湯呑がうちのおかみさんの笑顔と共に出された。
愛用の分厚い湯呑に、私好みの濃い目のお茶。
そーっとひと口すする。温度が程よいのでもう一飲み。
濃厚な緑茶の味わいと、鼻を抜ける香り。
熱い液体がのど元を通り過ぎる感触に、ほうと一息つく。
やっと家に着いた。
だんだんと煮えてくる鍋を前に、至福のお茶!
一服するというのはこういうことか。あぁ……。
林家木久扇(はやしや・きくおう)
1937年生まれの落語家、漫画家、画家、YouTuber。
漫画家を経て1960年に落語界入り。
1969年には日本テレビ「笑点」のレギュラーメンバー入り。
1973年に真打ちに昇進し、
2007年には落語界史上初の親子W襲名により「林家木久扇」となる。
時代に呼応した新鮮な話芸をもち、アート、ラーメン、絵画、歌、役者、エッセイなど、下町の粋を伝えるマルチな落語家としてお茶の間に人気。
2020年には念願のYouTuberデビュー。
HIKAKINに師事してKIKUKIN名義でチャンネルを開設。
そして同年8月には芸能生活60周年を迎えた。