宮崎の日本茶専門店(お茶・緑茶)新緑園

日本茶NEWS

2022.07.02

二、林家木久扇師匠の「出がらし茶葉の思い出」



二、林家木久扇師匠の「出がらし茶葉の思い出」 二、林家木久扇師匠の「出がらし茶葉の思い出」

今月のお話は、木久扇師匠の師匠にまつわる思い出です。

二、林家木久扇師匠の「出がらし茶葉の思い出」

私が始めに弟子入りした三代目・桂三木助はお茶が大好きだった。
今から六十年前の、昭和三十五年頃のことだ。
師匠は朝、洗顔を済ませてから奥の八畳間でお茶を飲むのが日課。
ご贔屓から贈られた八女茶(やめちゃ)※を、
それは美味しそうに目を細めてすする。
そばに必ず梅干しと白砂糖の小皿がそばに置いてあった。

※福岡県で生産される日本茶。

お茶の新緑園(画像10292)

お茶にうるさい師匠は、お茶の淹れ方にもこだわりがあった。
一煎目を飲んだら急須のフタをずらし、中の熱を冷ましておく。
こうすると茶葉が蒸れず、二煎目も美味しく飲めるのだ。
二煎目を楽しんだ後の急須はおさがりとなり、三煎目はおかみさんと子供たちが飲み、
その後は弟子たちに回ってくる。
私には木久八(九代目・入船亭扇橋)、木久造(二代目・春風亭華柳)、
木久弥(二代目・柳家小はん)と三人の兄弟子がいたから、
おさがりの急須が私に回ってくる時には、味はすっかり抜けてただの茶色のお湯だ。

お茶の新緑園(画像10294)

急須を片付けるのは私の役目だが、この八女茶の出がらしは捨てない。
前から溜めておいた出がらしに足し、ザルに広げて天日で干す。
すると蒸れて広がりきった茶葉は、乾いて元のよじれた葉の形に戻るのだ。
それを今度は大きなヤカンに移し、たくさん水を足してガスで沸かす。
ヤカンが煮えるとどうだろう、再び水色(すいしょく)は緑色となり、
どう見たってお茶である。
これを冷蔵庫で冷やしてオヤツの時にいただく。
味は抜けたままで緑色の冷水なのだが、ただの水よりマシだった。
まだ新人でお金がなく、稽古に明け暮れていた若い時分のお茶修行である。

お茶の新緑園(画像10296)

林家木久扇(はやしや・きくおう)
1937年生まれの落語家、漫画家、画家、YouTuber。
漫画家を経て1960年に落語界入り。
1969年には日本テレビ「笑点」のレギュラーメンバー入り。
1973年に真打ちに昇進し、
2007年には落語界史上初の親子W襲名により「林家木久扇」となる。
時代に呼応した新鮮な話芸をもち、アート、ラーメン、絵画、歌、役者、エッセイなど、下町の粋を伝えるマルチな落語家としてお茶の間に人気。
2020年には念願のYouTuberデビュー。
HIKAKINに師事してKIKUKIN名義でチャンネルを開設。
そして同年8月には芸能生活60周年を迎えた。

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